ノビチョクとは何?
ノビチョクは、1971年から1993年にソビエト連邦とロシア連邦が開発した神経剤の一種で、開発した科学者は、VXガスと比べて5倍から8倍、ソマンの10倍以上の致死性があると話している。
ノビチョクは、以下の目的で開発。
・北大西洋条約機構(NATO)の1970年代から1980年代の標準的な化学物質検出装置で検出できないこと。
・NATOの化学防護を突破すること。
・安全に取り扱えること。
・化学兵器禁止条約により規制された前駆物質(前駆体)のリストを回避できる化学物質であること。
ガスや蒸気の代わりに超微細粒子として拡散する独特な性質を持つノビチョクは、砲弾、爆弾、ミサイル、噴霧装置を含む様々な装置を介し、液体、エアロゾルまたはガスとして散布することができるとされている。
症状や事件は?
症状
神経剤としてノビチョクは、有機リン酸アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のクラスに属している。
これら化合物は酵素アセチルコリンエステラーゼを阻害し、神経伝達物質アセチルコリンの正常な分解を妨げる。
アセチルコリン濃度は、神経筋接合部で増加し、全ての筋肉の不随意収縮を引き起こす。
これは呼吸と心拍停止に繋がり、最終的には心不全または肺水腫による窒息により、死亡する。
事件
1995年、ロシアのビシネスラウンドテーブルの責任者、イヴァン・キヴェリディと彼の秘書、ザラ・イスマコヴァを毒殺するために、元ビジネスパートナーのウラジミール・クシシビリが使用。
2018年3月12日、ロシア連邦軍参謀本部情報総局幹部セルゲイ・スクリパリと娘のユリアの暗殺を狙って使用。
セルゲイ・スクリパリは、英国側のロシア人スパイとされている。
2020年9月2日には、ドイツ政府が2020年8月20日、ロシア反体制派の政治活動家であるアレクセイ・ナワリヌイが紅茶に混入された毒物により意識不明の重体となった事件において、ドイツの政府当局は、血液サンプルの検査からノビチョク系の毒物が用いられたと断定できる証拠が得られたと発表した。
ナワリヌイ氏は8月20日にロシアの空港で紅茶を飲んだ後、国内線の旅客機内で意識を失って入院。同22日に治療を受けるためベルリンへ搬送された。
ドイツのメルケル首相は、「疑いのない証拠が得られた」とし、ロシアを厳しく非難し、ロシア側に早急な説明を求ることとなった。